2011年4月24日日曜日

キーワード体系図解を作成する

 先に作成したテキスト構造図解をベースにテキストから学習のためのキーワードを抽出しました。抽出基準は、私が興味を持った言葉を各フレーズ毎に抽出しました。フレーズが異なれば、同じ言葉が再度抽出されます。自分が強く興味を持った言葉だけでなく、なんとなく魅かれる言葉も含めました。また、理解できていない言葉も、理解できていると自分では思っている言葉も幅広く抽出しました。
 自分の過去の経験から、キーワード抽出はある程度幅広く抽出しておくほうが、思考や作業が効率的にできると思うからです。不要な情報を削除することは、気がついた時にいつでもできますから。
 抽出結果はフリーソフトfreemaindで体系的に表現して、一覧的に眺めて発想がスムーズにできるようにしました。キーワード体系図解をこのブログのページ機能にアップしました。

            キーワード体系図解の例

 このキーワード体系図解を眺めて、次のような考察をしました。

前文
・このテキストが「まちづくりの哲学」「まちづくりのコンセプト」について述べることをうたっています。
・前文はとりあえず現在の理解で済ませることにします。

1「和のスピリット」
・「和のスピリット」という言葉は著者の造語であり、著者が提唱する地域づくり哲学の根幹をなしている概念であると思います。
・私には「和のスピリット」を説明展開するために、以下の章を著者が設けたようにも感じます。
・このテキストで得る最大の収穫がこの「和のスピリット」にあるように、私の場合は感じます。
・「和のスピリット」の下位のキーワードとして、風土(コーラ、空、石神信仰)、地域づくりの演劇性、多神教、「違いを認める文化」などがあります。

2プラトン、コーラ
・プラトンのコーラを出発点として藤沢令夫、中沢新一、オギュスタン・ベルクの著作内容を紹介しながら著者の考えを述べています。
・(予備知識がない私にとって)難解であり序序に理解していくしかないと思います。

3田舎の意識改革
・他の章とすこしおもむきを異にしており、コーラの語りの運動論について論じています。
・3のプラトンのコーラの補論(付録)として捉えて、学習することでよいと思います。

4空、ジオパーク
・仏教との関係から空について論じています。
・(予備知識がない私にとって)難解であり序序に理解していくしかないと思います。

5石神信仰
・大護八郎の「石神信仰」を引用しながら論を進めています。
・石神は具体的対象物であり、コーラや空と違って即座に理解できる内容が多いと思います。
・石神の学習から「和のスピリット」に歩を進めていくことが「入社式」みたいにならないための工夫のような感じがします。

6新しい文明の原理、共生
・この章は生命の話しと縄文思考の話しの2本立で構成されているように感じます。
・それぞれ具体的事象が対象ですから、コーラや空と違って理解しやすい内容だと思います。
・特に小林達雄の縄文の思考は私にとって興味が湧きます。この学習から「和のスピリット」にアプローチすることも魅力的です。

7森岡正博、生命の哲学
・この章は森岡正博の著作内容紹介と今村仁司の著作内容紹介の2本立で成り立っているように感じます。
・森岡正博の著作内容は私にとって理解することは難しくないように感じます。内容上興味が湧きます。
・今村仁司の著作内容は文化人類的内容であり、私にとって難解な部分を含んでいるような予感がします。興味はあります。柳田國男の著作に黙市(サイレントトレード)に関するものがあります。それは贈与ではない通商の一種ですが、それが成り立つのは贈与にしない規制があるためであり、贈与論とどこかで関係しているように感じます。

学習の糸口
上記の考察から、テキスト「ジオパークについて」の理解を深めるための学習の糸口を、次のように考えました。
大護八郎の「石神信仰」、小林達雄「縄文の思考」から関連背景図書を読み、学習達成感を感じながらテキスト「ジオパークについて」の学習を進めていく。

2011年4月19日火曜日

岩井國臣著「劇場国家にっぽん」紹介

            岩井國臣著「劇場国家にっぽん」(新公論社、2004)

 岩井國臣先生の主著である「劇場国家にっぽん」を紹介します。

1 諸元
著者:岩井國臣
書名:劇場国家にっぽん わが国の姿のあるべきようは
発行:新公論社
発行年月日:2004年7月22日
体裁:単行本(21.2 x 15.2 x 1.6 cm)183ページ
ISBN-10:4915156125

2 目次
はじめに
第1章 劇場国家にっぽんの礎
第2章 モノづくり博物館
第3章 会津から響く声
第4章 わが国のあるべき姿
あとがき

3 「はじめに」抜粋
 著者は「はじめに」で、前著「桃源雲情」で表した国づくり、地域づくりの哲学に関する問題意識について、その継続と発展について述べています。その部分について抜粋しました。

(前略)
わが国の国づくり、地域づくり、町づくりは、これからの新しい第三文明の原理にもとづいてやっていくべきではないのか。過疎開題も、農山村問題も、現代の科学文明では、もはや解決し得ないのではないか。新しい第三の文明を早急につくりだしていかなければならない。そうでないとわが国の伝統・文化というものが、現代の科学文明に押しつぶされて失くなってしまうのではないか。
しかし、まだ大丈夫だ、間に合う。私はかつて『桃源雲情-地域づくりの哲学と実践』(1994年・新公論社)という小著を出したが、そのなかで「哲学者はさぼっているのではないか」というようなことを書いた。そしてその問いを梅原猛にぶつけたことがある。彼は笑って何も言わなかったが、当時の私は大いに勘違いしていた。日本の哲学者はさぼってなどいなかった。梅原猛もそうだが、中村雄二郎や中沢新一の執筆活動に、私は今ぞっこん惚れ込んで…まあ言うなれば首ったけである。
そして、そういう哲学者の導きによって、どうやら私も、平和な国づくりの道筋が見えてきたように感じている。まだまだの面もあることはわかっている。
(中略)
今年あたり、歴史的に見て、世界のなかで日本を中心に新しい文明の芽が出てくるのではないか。密かにそのような予感を抱いている。
新しい文明とは、ダーウィンが進化論で唱えた弱肉強食の社会ではない。わが大先輩、今西錦司が「棲み分けの理論」で説いたところの共生社会を目指す文明である。さらに、今をときめく哲学者、中沢新一の説く「モノとの同盟」である。「違いを認める文明」の芽が、近い将来、この日本から出てくるのではないか、そんな予感がするのである。今、中沢新一が盛んに打ち続けている「太古のリズム」が人びとの心を震わし、新しい文明を生む萌芽の兆しを、私は肌で感ずるのでる。しかして、その新しい文明の鍵とは?それは中沢が説くところの、世界の「宿神の王」であり、「後戸の神」であろう。
ともあれ、以下の拙文をご高覧いただきたい。

4 私のメモ
・テキスト「ジオパークについて」の中で学習すべき主要概念のうち、基本的なものがこの本の中で扱われ、説明されている。
・じっくり読んでみる。
・この本を読むことで、著者のものの考え方がより鮮明にわかることになるだろう。
・従って、この本の読後、テキスト「ジオパークについて」の学習が楽になると思う。
・引用図書、参考図書も多いので、そちらへの寄り道読書もする。

2011年4月17日日曜日

岩井國臣著「桃源雲情」を読んで


2011年4月11日の記事で、岩井國臣著「桃源雲情」の概要を紹介しました。
この本は岩井國臣先生が建設省中国地方建設局長時代に体験されたことを素材にして、地域づくりの哲学の必要性やその内容について論じています。

ここでは、この本を私が再読して、興味を持ち、あるいは参考になったフレーズを抜粋しました。抜粋は著者の基本的な考えのみとし、具体的エピソードは全て省きました。
また、引用図書や参考図書のうち、私が興味を持ち自分の読書予定リストに入れたものをピックアップしました。

1私が興味を持ち、参考となったフレーズ
【 】の小見出しは私が作成しました。

【文明の原理を感得し、政治、経済、行政のあり方を考える】
序にかえて
 カオスからコスモスへ
(3)実践からのアプローチ
「(前略)これからあるべきコスモスというものは、国づくり、地域づくり、川づくりにも当てはまるものでなければならない。逆に、これからあるべきコスモスというものを考えていくとすれば、私などが考えている望ましい国づくりのあり方、地域づくりのあり方、川づくりのあり方をも包含したものでなければならないだろう。ところがこれからあるべきコスモス(文明の原理・秩序)が明らかでない。哲学者が怠けているからだ。だとすれば、当面は、政治、経済、行政それぞれの立場、これからあるべきコスモス(文明の原理)を直感にもとづいて感得し、それによって政治、経済、行政のあり方を考えるしか方策がないではないか。所詮、我々は直感でしか物事はできないのだが。」

【「共生と循環」の思想があるべき文明の原理を創り出す】
序にかえて
 カオスからコスモスへ
(4)遥かなる想い
「大袈裟に言えば、この小著を世に問うてみようと思いたった動機は、この日本の自負と責務を説かれた刺激的で魅力的な先生(※)の言葉である。『共生と循環』の思想がこれからあるべき文明の原理(コスモス)を創り出すのではないかと直感しながら……。」
※梅原猛先生(引用者注)

【歴史を生きる】
中国地方との出会い
「中村雄二郎先生が言われるように、我々は、身体で生きるのではなく、身体を生きるのだ。それと同じように、我々は、歴史に生きるのではなく、歴史を生きるのである。そのように、歴史というものは、地域の風土に関係し、我々の意識に関係しているので、歴史を抜きにして地域を理解することはできないし、地域の人々を理解することもできない。地域や地域の人々を理解することができなければ、真のコミュニケーションはできないし、地域づくりも覚束ないであろう。敷衍して言えば、このことは国際的にも同じことではないかと思う。」

【交流の哲学的意味】
中国地方との出会い
「交流の哲学的な意味は、既存の自分を壊して新たな自分を作り出す、或いは既存のものを壊してより価値あるものを作り出すことにあるのだそうだ。1+1は3の世界、それが交流の世界だ。」

【国家優先、経済優先の国土構造の根本的是正】
中国地方との出会い
「本書の上梓に際して想うのは、わが国が近代化の過程で進めてきた国家優先、経済優先の国土構造そのものを根本的に是正し、地方の盆地などに沈澱している深層文化を再び生き返らせたい想いと、世界のネオ・コスモス(新秩序)に生きる人間の生きざまを暗喩する哲学とそれに連なる社会思想(多分、自然・文化・コミュニケーションをキーワードとする共生思想)をカオスの世界に向けて発信できる地域社会の構築である。」

【ロマンある地域づくり】
人と地域と国を繋ぐ
「ロマンある地域づくりについて、あらためて定義しておきたいといます。『ロマンある地域づくり』とは、その地域の自然的特性、歴史・文化的特性にもとづき、人の感受性の深層部分を震わせるよう気配りのされた個性ある地域づくりであって、それは、本質的に連携、交流、コミュニケーション等、共生の思想を前提にしている。このようになろうかと思います。」

【第三の文明】
饒舌の平和から明るい平和都市ヘ
「反戦運動や反核運動そういったレベルでの平和というのではなくて、もっと原点に返っての平和、それが哲学の道研究会なんです。第一回目にお呼びした梅原猛さんは、これからの世界というのは、力の文明ではもうやっていけない。西洋の文明というのは、力の文明で成り立っているわけですけれども、そういうものではもうやっていけないので第三の文明というものをつくらなければいけない。日本というのは、西洋文明の取り入れに成功して、しかも古い日本と東洋の伝統文化が残っている。そういう西洋文明と東洋文明の渾然一体とした中から、第三の文明が出てくるのではないか。それには、日本が大きな役割を果たすのではないか。『ベき論』ではなくて、たぶん果たすのではないか、こういうことを言われるわけです。」

【リージョナルコンプレックス】
地域づくりの哲学とは何か
「地域づくりは人づつくりとよく言われるが、地域づくりに取り組むサークルないし団体が生き生きしていなければならない。数名のサークルから大きな団体までいろいろな組織があって、いきいきと独自の活動をしている。そして、それらの組織が何かある共通のテーマで結ばれている、そういう地域社会は生き生きしている。坂本慶一氏(福井県立大学学長)は、リージョナルコンプレックス(regional complex)と呼んでいるが、今後、わが国は、そういう地域社会の実現を目指さなければならない。それが聞かれた地域社会であり、共生、交流、連携(ちなみに、共生、交流、連携は同根の言葉であるがこの順序で概念が広い)をキーワードとする共生社会である。」

【共生と循環の原理】
地域づくりの哲学とは何か
「私のもっとも尊敬する梅原猛先生は、『これまでの科学技術は自然を征服するための科学技術であったが、これからの科学技術は自然と共生し、自然を尊敬するための科学技術、共生と循環の原理に基づく科学技術でなければならない』と仰言っておられる。」

【川づくり】
地域づくりの哲学とは何か
「そして今、私は河川環境の三大要素、自然生態系と社会系と文化系、それらを考えながらこれからの川づくりを進めていきたいと考えている。そして、そういったこれからの川づくりは、さまざまな交流活動あるいは連携によって進められる。言うなれば、梅原猛先生の言われる「循環と共生社会」の一つの姿を夢見ているわけだが、予感としては、いま考えているような動きがわが国の社会に広く定着していけば、多分、そのことが梅原猛先生の言われる第三の文明というものをも作り出していくことになるであろう、そんなふうにも感じている。」

【コミュニケーションシステムの必要性】
あとがき
「しかし今、確信して言えることは、コミュニケーションシステムの必要性だ。それもオフライン、オンライン共にである。コミュニケーションシステムのないところに二十一世紀型の生活はない。こう言い切れるのも、交流活充運動を通じて多くのことを学んだお陰だ。」

2私が興味を持った引用・参考図書
哲学の現在 中村雄二郎 岩波新書
「森の思想」が人類を救う 梅原猛 小学館
地域の思想 増田四郎 筑摩書房
「小盆地宇宙と日本文化」米山俊直 岩波書店
現代文明ふたつの源流 中尾佐助 朝日新聞社
稲作文化と日本人 玉城哲 現代評論社

2011年4月16日土曜日

悪について戸惑い、考える


 このブログの本題ではありませんが、私の生活の中で、地域づくりにおける悪について考えることがありましたので、参考までに報告します。

 私は、趣味の散歩を花見川流域で行っています。散歩をICT化、高度化して、それをツールに地域の資産(宝)を見つけようとしています。その資産(宝)を使って、新たな地域づくり展開の方策を見つけようとしています。
 このような活動をブログ「花見川流域を歩く」で情報発信しています。
 
これまでの活動は順調でした。
 しかし、本川の散歩から支川の散歩の移り、その流域に陸上自衛隊習志野演習場を抱える高津川に足を踏み入れたとたんに、悪に出くわしました。敗戦時における旧軍の毒ガス兵器埋設という悪です。
 この悪はこれまでに社会の深い部分に悪い影響を及ぼしてきたように感じました。

 楽しいはずの趣味の散歩が悪の暗礁に乗り上げてしまい、どうしようかと暗澹たる気分で数日を無為に過ごしてしまいました。
 しかし、このブログで地域づくりの哲学を学習し始めたことを思い出し、この悪を学習対象にしてしまおうという考えに至りました。
 テキスト「ジオパークについて」の学習の中で、どのように悪が現れてくるのか、まだわかっていません。しかし、どこかで出てくるような予感がします。出てこなくても、どこかで自分で関連付けて、学習したいと思います。
 悪を直視し、悪を知ることによって、善とか地域づくりの理想とかの意味が浮き彫りになるかもしれないと思います。また、悪と善とは以外にも裏腹な関係かもしれないとも予感します。悪を哲学的、思想的な学習対象にしたいと思うようになりました。

 詳しくはブログ「花見川流域を歩く」2011年4月16日記事「北高津川流域紀行4 旧軍の悪」に書きましたので、興味ある方はご笑覧ください。

2011年4月14日木曜日

テキストの構造図解を作成する

            構造図解の例示

 学習を進めていく上で、テキスト全体がどのような構造になっているのか事前に知っておくことが必要です。そこで、テキスト全体の構造図解をつくりました。
 構造図解結果はページ機能にアップしました。(テキスト構造図解1、テキスト構造図解2)
 旅に地図が必要になるように、テキスト学習にはテキストの構造図解が必要です。
 私は、この構造図解をチェックリストとして活用しながら、各種図書を下読み、通読読み、精読して、テキストの内容の理解を深めていきます。

 まだ、テキストの内容は表面読みした段階であり、精読したものではありませんから、厳密な構造図解ではないかもしれませんが、構造の大要はほぼ捉えることが出来たと思います。
 テキストの理解が進んだ段階で、構造図解の修正と精緻化をします。

 なお、構造図解の作成はFreemindというフリーソフトで行いました。

2011年4月12日火曜日

自炊生活

            私の自炊用具?
            (強力な裁断機と自炊用スキャナーscansnap)

 いよいよ学習が始まりましたが、私にとって大切な学習インフラについて紹介しておきます。

 自分で、図書を物理的に解体してスキャンし、電子化(透明テキスト付きpdf化)することを「自炊」といいます。
 私も1年以上前から自炊生活していて、学習や作業の効率化を図っています。自炊すると、紙の本がバラバラになり、本としては使い物にならなくなるというデメリットがあります。一方、パソコンに向かって作業や読書する時の効率性には大きなものがあります。その人の立場・条件・パソコン環境等によって自炊が役立つかどうか違うと思いますが、私は相当役立っていますので、紹介します。

 まず、私が感じる自炊のメリット、デメリットを紹介します。

 自炊メリット
・パソコン上でその本の検索機能を使える。テキストとして再利用できる。(これが一番魅力的です。)
・パソコン上で複数ページを同時に表示して読めるので、読書スピードも速く、図書内容をマップのように平面配置的に把握することが可能となる。(私の場合、ディスプレイを3台連動して使っているので、この機能も大変重宝です。)
・パソコン上で読書とWEB検索、文章作成などの作業を一体として行うことができる。
・外部持ち出しが何冊でも可能。(携帯できる端末に入れて、旅行先、外出先に何十冊も本を持っていける。)
・大型本などの、読書のしにくさがなくなる。
・本の保管場所が必要でなくなる。(パソコンの中ならいくらでも保管できる。)

 自炊デメリット
・本の解体に心理的抵抗が残る。
・本の解体、スキャン、ocrに多少の時間がかかる。(ただし、裁断機やスキャナーが余裕のある空間に用意されていれば、通常の単行本なら1冊30分程度で全部終わります。)
・本が使えなくなる。(物としての本の価値がなくなる。)

 次の画面は私の読書画面の1例です。

            左5pのサムネールで読書する

 Adobe Acrobatのサムネール領域を広くとり、サムネールを拡大してそれを読みます。本来の表示画面は読みません。そこにカーソルを置いて、マウスでサムネールを移動するのに使います。
 このようにすることで、5ページが1度に画面表示されるので、読書の視界が開けます。ページをくくるときのもどかしさがなくなります。このようにして読書すると、紙の本の読書にはあまり戻りたくありません。

 ここで報告した自分なりに整備してきた学習インフラを最大限活用して、効率的な「ジオパークについて」学習を進めていくつもりです。

テキストに「7森岡正博の『生命の哲学』」を追補

            早朝の桜(2011年4月11日5:30千葉市花見川区)

 テキスト「ジオパークについて」に「7森岡正博の『生命の哲学』」を追補しました。

2011年4月11日月曜日

岩井國臣著「桃源雲情」紹介

            岩井國臣著「桃源雲情」(新公論社、1994)

 岩井國臣先生の最初の主著である「桃源雲情」を紹介します。
 紹介は1諸元、2目次、3「序にかえて」抜粋により行います。この図書の概要と意気込みがわかると思います。
 なお、4私のメモを最後につけました。

1諸元
著者:岩井國臣
書名:桃源雲情-地域づくりの哲学と実践
発行:新公論社
発行年月日:1994年12月25日
体裁:単行本(18.4×13.6×2.4cm)324ページ
ISBN-10: 4915156087

2目次
序にかえて
中国地方との出会い
草ぐさのおもい
交流活充運動の理念と提唱
人と地域と国を繋ぐ
饒舌の平和から明るい平和都市へ
三次・庄原の明日を素描
伝承が埋もる比婆を照射
総都市化に健全な未来はない
清麻呂復活にかける町づくり
世々日本文化を受継いだ百姓衆
おしゃべりコンチェルト
地域づくりの哲学とは何か
あとがき

3「序にかえて」抜粋
岩井先生の、あるべきコスモス(文明の原理)に対する実践からのアプローチに関する部分と「この小著を世に問うてみようと思いたった動機」に関する部分を抜粋しました。

序にかえて
 カオスからコスモスへ
(3)実践からのアプローチ
 私は、川づくり、地域づくり、国づくりに携わる一介の土木技術者である。しかし、川づくり、地域づくり、国づくりに携わっていて痛感することは、もはや今までの延長ではやっていけないということだ。これからあるべき文明の原理(コスモス)とは何か、そういったものが判らないとこのようなカオスの時代をやっていけないのではないか、自分の仕事を通じてそんなことを強く感じている。個人はともかく、国としてはネオ・コスモス(新秩序)が必要だ。外交もしかり、経済もしかり、政治もしかり、国づくりもしかり、地域づくり、川づくりも然りだと思う。
 私がつくづく実感するのは、わが国の哲学者が怠けているように思えてならないことだ。国づくり、地域づくりの方向が見えない。ネオ・コスモスがおぼろげにも見えて来ないのだ。これからあるべきコスモスを見いだす、それが哲学者の使命なのに、である。
 わが国も今は新たなカオスの時代。世界のカオスを見て、それからわが国のコスモスを考える。私には直感でしか考えられないが、国づくり、地域づくり、川づくりの立場からそれを考え、実践している。これは当然のことと思うが、これからあるべきコスモスというものは、国づくり、地域づくり、川づくりにも当てはまるものでなければならない。逆に、これからあるべきコスモスというものを考えていくとすれば、私などが考えている望ましい国づくりのあり方、地域づくりのあり方、川づくりのあり方をも包含したものでなければならないだろう。ところがこれからあるべきコスモス(文明の原理・秩序)が明らかでない。哲学者が怠けているからだ。だとすれば、当面は、政治、経済、行政それぞれの立場、これからあるべきコスモス(文明の原理)を直感にもとづいて感得し、それによって政治、経済、行政のあり方を考えるしか方策がないではないか。所詮、我々は直感でしか物事はできないのだが。

(4)遥かなる想い
 先に述べたような社会の著しい混迷状態(カオス)に落ちいったとき、われわれの先達は、紀元前六世紀ごろの釈迦、孔子、ソクラテス、それに第二イザヤ(キリスト)を加え、世に言う四聖人を引き合いにして、それぞれの思想、哲理を指導原理に仰いだ。そしてまた、われわれをとりまく事物の価値判断が混乱をきたすいわゆる過渡期といった時代が到来すると、いつも原点に立ち帰っての「自然観」がテーマとなって浮上していた。
 いま心静めて「汝自身を知れ」と言ったソクラテスの太古に想いをめぐらそう。というのは現在の西欧社会では自然はあくまで征服すべきものとするキリスト教義に従う普遍的な認識があると思うが、ギリシャ文明初期には、なお、万物は神々に満ちている(タレス)、そこかしこに神々が住む(ラクレイトス)といった自然観があって、人間も神々と一緒に自然の中に内在していたからである。なお、メソポタミアから東遷したインダス文明、あるいは黄河文明にもすでに自然との共生思想が培われていたのはいうまでもない。
 ところで、「神々の流竄」「水底の歌」「隠された十字架」などで名高い梅原猛先生は元来、哲学者である。私の尊敬する偉大な哲学者である。だが、先生は梅原史学、梅原日本学あるいは演出家梅原猛といった幅広い分野で活躍しておられるので、とかく哲学者であることを忘れさせ、そのことがまた梅原信者を増やす結果にもなっている。私としては、やはり哲学者としての梅原猛先生を思い出して欲しいのである。この梅原哲学の一端に触れるべく、やや長くなるが「森の思想」から引用してみよう。
 「近代文明は自然科学と巨大な技術力を生み出した。現代は、文明が森を求めて旅するという歴史はこれ以上は続けられない。古代文明からギリシャ文明に移り、ローマ、北ヨーロッパ、そして新大陸へと文明は森を求めて旅をした。まだ森の残存するアメリカや日本に文明は栄えたけれど、森を求める文明の旅は今後はできない。しかし交通網の発達は遠い地球の果ての森まで破壊している。それにこの文明の破壊力は、かっての農業文明の比ではない。しかもその力はますます強くなっている。これが地球の生態系のバランスを狂わせている。それがいま叫ばれている『地球、環境の破壊』である。」
 古代文明はチグリス・ユーフラテス両河、ナイル河、インダス河、黄河の四大河畔に生まれたという従来からの「河」に対して「森」を置かれたのは「山に森がないと文明は存在しない」というギリシャ文明の興亡にいささか係わるようだ。さらに先生は、「共生と循環」という伝統的な思想を文明の中に持っている日本人が、あえて、人類をして破滅の道を免れしめる理論体系をつくりだす、そういう試みをしなくてはならないのではないか……と強調されるのである。
 大袈裟に言えば、この小著を世に問うてみようと思いたった動機は、この日本の自負と責務を説かれた刺激的で魅力的な先生の言葉である。「共生と循環」の思想がこれからあるべき文明の原理(コスモス)を創り出すのではないかと直感しながら……。


4私のメモ
 この「桃源雲情」は岩井國臣先生の地域づくりの哲学の出発点とも言える図書である。この図書を再読することで、テキスト「ジオパークについて」の学習の基礎固めができると思う。
一般向け文章なども含む、地域づくり関係の著作物を集成した図書である。哲学的な中身は濃いが、読みやすいので、再読は難しくないと考える。

2011年4月10日日曜日

紹介予定図書を掲載しました

            書庫から探し出した図書
 
 このブログのページ機能に紹介予定図書を掲載しました。
 
 紹介予定図書で述べているように、紹介レベルは下読みレベル、通読レベル、精読レベルの3段階です。
 
 下読みレベルでは、書店で立ち読みして購入した図書は全て紹介します。
 通読し出して、つまらないもの、期待はずれのものは、途中で捨てます。
 通読したものは、通読レベルでの紹介をします。ただし、それ以上深めて学習する必要性を感じないものは、ここまでの読書とします。
 通読してさらに深めて学びたいと思った図書は精読します。その結果は精読レベルでの紹介をします。しかし、精読といっても、その図書の一部について行うことが多いのではないかと、今は想像しています。

 このブログに記事を書くことで、自分に対する学習意欲増進の刺激としたいので、とりあえずこれから下読みレベルの図書紹介を始めます。

 もちろん、図書紹介以外の記事として、学習で考えたこと、わかったことなどの本来の記事、あるいは学習スキルなどについての記事も掲載していきます。

2011年4月9日土曜日

ブログ活用法と図書紹介法


テキスト「ジオパークについて」の学習方法の基本は、前の記事「学習方法」で書きました。

さて、ある本を読み出したとします。「入社式を済ませる」で書いたように、歯が欠けそうな難解な本ばかりです。普通に読み出したら、時間がかかります。途中挫折も濃厚です。ですから、ある本の学習にかじりつき、それ極める。そして次の本に進むというプロセスは得策ではないと思います。
そのような活動をブログで情報発信することはやめます。

むしろ、ブログで情報発信することで、自らの学習活動を励ますなり、鼓舞するようにしたいと思います。学習する本についていろいろしゃべっていれば、学習が進むのではないかと思います。口に出したこと、あるいは、書いたことは実現するのではないかと思います。

また、やさしい思考活動からステップを踏んで難しい思考活動に歩を進めたいと思います。確実にステップを進めるために、学習における現在位置の確認や学習課題の把握にこのブログを活用したいと思います。

具体的には、次のような図書紹介記事をこのブログにアップしていくつもりです。
1 学習対象本の下読み紹介
本の表題・目次を確認します。まえがき、あとがき、解説などを通読します。主要記述と思われる部分をところどころ拾い読みします。こうした下読み結果により本を紹介します。
これならどんな本でも出来ますから、入手して読書予定に入っている本は全て記事にできます。

2 学習対象本の表面通読紹介
次のような問題意識を念頭にして、全部読み通します。理解できないところは読み飛ばします。
・この本の主要テーマ(著者が最も言いたいこと)は何か?
・この本が自分の学習に役立つ程度は?(難解すぎる、役立つ、役立たない)
・この本が地域づくりの哲学・思想とどのような関わりがあるのか?(関わりのある章はどこか?)
この表面読みの結果をブログで記事にします。
表面読みの結果、難解すぎて後日の学習に廻す本、当面精読する本、精読しないで捨てる本などに区分することができると思います。また精読する場合に重視する章を見つけておくことができます。

3 学習対象本の精読紹介
私の読書は、本の書評を作ったり、本のテーマそのものの学習をしようとしているのではありません。本の中から、地域づくりの哲学や思想の材料を見つけようとしているのですから、精読の方法も効率的に行うつもりです。次のような視点から学習します。場合によってはその本のある部分だけ精読します。
・地域づくりの哲学・思想と関わりのある著者のキーワードや重要なフレーズを見つける。
・重要なキーワードやフレーズに関する著者の論証とその材料を読み取る。
・著者の論証や材料の確からしさについて考える。
このような学習結果を紹介したいと思います。

以上のように、1冊の本の読書も3回に分けて紹介していきます。そうすることで、ブログ情報発信と学習のテンポをあわせることができると思います。(実際に3回紹介するかどうかは、実際に歩き出さないと判りませんが。)

2011年4月8日金曜日

学習方法

            路傍の花

 おかげさまで、「入社式」を経ることで、次の2つがわかりました。

1自分の能力
 自分の能力がある程度客観的にわかりました。私と、テキスト「ジオパークについて」やその背景図書との距離感が実感できました。技術書相手のような正攻法ではだめだということがわかりました。

2自分に欠乏しているもの
 脂肪が体に足りない人が、無性に脂っこい食べ物を求めるように、今の私に地域づくりの哲学や思想が欠乏しているので、それを(体が)求めいていることもわかりました。
 求めているものは、博覧な知識ではなく、自分自身が拠って立つことができる、血肉としての哲学・思想です。それを岩井先生のテキストとその背景図書から自分なりに発見しようとしているのです。

 このようにある程度自分を客観的に見ることができたので、それを踏まえて、これからの学習方法を次のようにすることにしました。

第1段階 馴らし運転期間
 深い思考を伴う活動にすぐに入るのではなく、最初は体(頭)の調子を学習するにふさわしい状況に序序に馴らして行きたいと思います。
 次のような活動をします。
・岩井先生の著書を再読してみる。(「桃源雲情」〔1994年、新公論社〕、「劇場国家にっぽん」〔2004年、新公論社〕)
・テキストに引用されている文章(さらにそれが引用している文章)を入手して読み、参考に出来るように整理する。
・テキストに引用されている図書を入手して拾い読みする。それにより、どのような種類の本であるか確認する。また、どのようにしたらその本を攻略できるか考える。
・哲学・思想用語法がわかる参考図書を入手して活用できるようにする。

第2段階 メイン学習期間
 テキストには次に6章があります。
第1章「和のスピリット」
第2章プラトンの「コーラ」について
第3章田舎の意識改革
第4章空(くう)とジオパーク
第5章「石神信仰」について
第6章新しい文明の原理「共生」
 この6章について、順に次の作業を行います。
・岩井先生(テキスト)が言おうとしていることを要約して、理解する。
・岩井先生(テキスト)が言おうとしていることの論証材料、参考資料である他のテキスト、図書について、その主要な内容を整理理解する。同時に論証材料、参考資料となった記述を確認する。20冊くらいの専門書を読むことになるのでしょうか?

第3段階 発展学習期間
・テキストの6章について岩井先生(テキスト)が言おうとしていることと地域づくりとの具体的関係、意義について考えを深める。
・テキストの6章の相互関係について考える。
・岩井先生(テキスト)が言おうとしていることの論証材料、参考資料となる他の図書を探し、情報を豊富化する。(図書の参考文献を利用するなどする。)

 学習を進める上で、岩井先生や皆様のご指導をいただければ幸いです。
 とにかく、学習を進めてみて、不都合があれば歩きながら修正・補強していくつもりです。
なお、興味が深まれば、寄り道も多いにするかもしれません。
 3ヶ月くらいで何かの区切りをつけられるようにしたいと思っていますが、あまり時間に縛られないで、じっくり楽しむつもりです。

2011年4月7日木曜日

「入社式」を済ませる

 ずっと前に読んだ河合隼雄の「働きざかりの心理学」という本に、次のような面白いことが書いてあります。
 新入社員が入社早々病気をしたり、大失敗をしたり、喧嘩をしたり、一見マイナスの現象を起こすことがよくあります。この説明として、人間が根本的に自分の在り方を変えねばならぬことは大変なことなので、それにふさわしい劇的なことが、なんらかの意味で必要なのであると話しています。そして、変革に伴うエネルギーは、一般にマイナスの形をとって現れることが多く、入社早々の失敗などは、プラスの意味を持つ「入社式」になっている場合が多いと話しています。

 「ジオパークについて」を学び出して、自分なりにこのような「入社式」を思い出すような体験をしましたので、報告します。

 最初から、学習挫折の話しです。

 テキスト「ジオパークについて」について一通り読んでみました。私にとって興味ある話題満載です。
 実は私は地理学科出身ですので、「2プラトンの『コーラ』について」に出てくる「オギュスタン・ベルクというすばらしい地理学者がいる」、「風土学の領野を開拓し、画期的な独自の理論を構築した人である。この人の最近の著書に「風土学序説」(2002年1月、筑摩書房)というのがあって、…」という文章に着目しました。自分の興味や専門に近いところから学習すれば糸口が広がるのではないかと思ったわけです。風景については多少かじったことがあるので、ここら辺から地域づくりの哲学・思想の世界に船出しようと思ったわけです。

 まず、「風土学序説」を入手しようとしました。絶版でした。WEBの古書販売サイトをみました。人気があり品薄のようです。いくら探しても定価3800円の本が2万円近くします。香港から取り寄せるというサイトがあり1万円弱でした。海外取り寄せのリスクがわからないので、決断できません。そこで千葉市図書館のWEBサイトをみると、最寄の図書館まで簡単に取り寄せできることがわかりました。スムーズに取り寄せることができました。(2011年4月6日、この文章を書きながら、再度WEB古書販売サイトを検索したところ4500円で出品されていて、早速入手続きをしました。良かった。)

            オギュスタン・ベルク著「風土学序説」(2002年1月、筑摩書房)

 「風土学序説」を手にして、早速読み出しました。岩井先生の文章以上の情報は事前に持ち合わせていませんでした。
 全く理解できないのです。日本語ですから、音読はできます。しかし、意味が100%判らないのです。普通は、難しいなりに、自分にとって役立ちそうなものであるかどうかとか、著者の言いたいことの雰囲気とか、レベルとか何らかの情報を引き出せます。そういうことが出来なければ、これまで社会人として来れなかったと思います。
 ところが、この本は歯が立ちませんでした。だんだん腹が立ってきました。
 意気軒昂に学習し出した途端に挫折です。
 哲学そのものの知識が自分に大いに不足していたようです。
 幸い、巻末人名索引で今西錦司を見つけそのページをめくると、なんとなく著者が言いたいことはわかりました。今西錦司全集は以前熱中して全部読んだことがあります。このことから、背景知識量を増やせば、ある程度までは理解できるのではないかと察知できました。
 わたしは、人生の大半を技術分野の仕事に従事してきており、哲学や思想、あるいはその背景となる歴史・文化についての素養の貧弱さを痛感させられる結果になったのです。
 この本が余りにも痛快に判らなかったので、捨て身になってこの本を判るようになりたいと思うようになりました。
 その時、これが私にとっての、河合隼雄のいう「入社式」だったんだと思い出したわけです。

 ブログの最初のコンテンツが学習の挫折ではどうしようもありませんが、ご容赦願います。

 これから、この1件をバネにして、「ジオパークについて」をテキストに、地域づくりの哲学や思想について学習していきたいと思います。

2011年4月6日水曜日

テキスト「ジオパークについて」の掲載

            早朝の桜(2011年4月5日5:30千葉市花見川区)

 このブログでは、私(cooler0331)が岩井國臣先生の論文「ジオパークについて」を学習していくプロセスを情報発信していきます。そのテキスト「ジオパークについて」をこのブログのページに掲載しましたのでお知らせします。テキストには、ブログ表題下のアイコンから入れます。

 この論文はジオパークを地域づくりとしてみたとき、その拠って立つべき哲学的思想的基礎を構築しようとしているものです。
 岩井國臣先生は土木技術者、行政官僚、政治家として豊富な経験をつむとともに、市民活動、過疎問題、地域づくりなどに関わる実践と哲学に特別深い造詣と理解を持っておられます。
 このテキスト「ジオパークについて」はそうした岩井先生の体験と知恵の結晶の一つであるように感じています。

 私は、このテキスト「ジオパークについて」の学習をきっかけにして、地域づくりの哲学についてより幅広く学習を進めていきたいと考えています。
 このブログを読んでくださる皆様とも地域づくりについて交流したいと思っています。

 なお、あわせて、ユネスコの支援の下に進められている世界と日本のジオパーク運動の具体的活動展開にも興味を持ち、学習していきます。